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2006.08.16

河野太郎氏が語る「再処理工場の秘密」(1)


 8月11日に、衆議院議員の河野太郎さんを講師に迎えまして、このブログでも以前より取り上げていた核燃料再処理の問題について講演していただきました。

 当日は平日昼間であったにも関わらず、こちらで設けていた定員ぎりぎりの58名の方にご参加いただきました。地元仙台はもちろん、岩手、山形、福島という隣県や、あるいは東京や横浜からいらっしゃった方もいて、反応の大きさに自分自身驚いたくらいです。お忙しい中駆けつけてくださったみなさま、本当にありがとうございました。

 また、法務副大臣という激務の中、快く講師を引き受けてくださり、とても分かりやすく、聴衆を引き込むお話をしてくださった河野太郎さんには大変感謝しております。連絡・調整に当たってくださった事務所の方々や某代議士さんおよびそのスタッフの方々にも大変お世話になりました。改めて御礼申し上げます。

 そして、この企画を手伝ってくれたスタッフ、ご協力いただいたみなさまにも大変感謝しております。多くの方のお力添えがなければ今回の企画は決して成功させることはできませんでした。


 それでは、これより何回かに分けて、今回のセミナーの様子についてお伝えしていきたいと思います。再処理の問題を考えていただくきっかけになれば幸いです。

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■核燃料サイクルとは何か

 みなさん、こんにちは。河野太郎でございます。話に入る前に、使用済み核燃料と高レベル放射性廃棄物の違いがわかるという方はどれくらいいらっしゃいますか。それでは、そこの説明から入りましょう。

(ホワイトボードに書く)

 ウランです。ウランをとりあえず鉱山から取ってきて、加工してウラン燃料というものを作ります。ウラン燃料をどうするかというと、原子力発電所で燃やして発電します(注1)。ここまではいいですよね。

 ウランを燃やすとウランの燃えかすが出てきます。これが使用済み核燃料。使用済み核燃料とは何かというと、ウランを燃やして出た燃えかすです。本来なら、燃料を燃やして燃えかすがでました、燃えかすを処分しましょうで終わりです。しかし、使用済み核燃料の場合はそうではありません。この使用済み核燃料を再処理するとプルトニウムが採れて、高レベル放射性廃棄物という第二段階のごみが出ます。

 このプルトニウムを高速増殖炉または英語でFast Breeder Reactorというもので燃やすと、投入した以上のプルトニウムが出てきます。今から3、40年前に、日本で原子力発電をやろうよと言ったときに、その頃の人は何を考えたかといいますと…。

 ウランというのも貴重なものであります。日本ではあまり出ない。ウランを取ってきて、ウラン燃料を作って原子力発電所で燃やして使用済み核燃料が出てきて、それを再処理するとプルトニウムというものが出てきて、プルトニウムを高速増殖炉で燃やすと、不思議なことに投入した量以上のプルトニウムを取り出すことができるので、そのプルトニウムをもう一度使って発電して…。

 これができるとウラン燃料とプルトニウムで千年単位で発電することができるようになります。だからこれを夢の核燃料サイクルと当時は言ったわけです。当時も今も、日本は石油が出ませんから、中近東から石油を買ってこなきゃいかん。石油ショックというものがありましたので、何とか日本独自のエネルギー源を開発しなきゃいかん。ウランはどこかから買ってこなきゃいけませんから、必ずしも国産ではありませんが、使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムは準国産。

 だから、高速増殖炉でプルトニウムを増やしていけば、中近東の石油に依存せずに日本はエネルギー源を確保できる。すばらしい夢の核燃料サイクル。これをやらなきゃいかんと、だいたい30年くらい前に国の方針を決めたわけであります。

 なかなかすばらしいアイデアですよね。若干いくつか問題がありますが。大筋からいくと非常にいいじゃないかとなるわけですが。問題がいくつかあります。一つはこの核燃料サイクルを実現するためには高速増殖炉でプルトニウムを燃やさないとなりません。高速増殖炉というのは30年前にはなかったんです。高速増殖炉でエネルギーを取り出して商業的に収支が合うようになる、要するに高速増殖炉が実用化されるのは30年後だと、その30年前に言っています。

 政府の文書でも、30年経ったら高速増殖炉ができるから、プルトニウムをそこで燃やすことができると書かれていて、なるほどすばらしい、と思って30年経った。しかし、高速増殖炉は完成しませんでした。最近出した政府の文書ではなんと2050年までは高速増殖炉はできないと言っています。

 30年前に30年後と言っておいて、30年経ったら50年後だと言う。50年たったらどうなるかわかりませんが、ひょっとしたら100年後くらいになると言っているかもしれません。

 「もんじゅ(注2)」って聞いたことある人いらっしゃいますか。だいたいみなさんご存じですね。「もんじゅ」は高速増殖炉の実験炉ですから、あれで技術を確立させておいてさらに商業化に向けて前に進めようというものです。特に「もんじゅ」で難しいのは、普通の原子力発電は冷やすために水を使いますけれども、「もんじゅ」は冷やすために液体ナトリウムを使う。ナトリウムというのは空気に触れると、大変な化学反応を起こして燃えるので、ナトリウムをどう扱うかというのが難しい。「もんじゅ」でなんとかその技術を身につけようとしていたわけです。

 ただ、「もんじゅ」がうまくいったからといったってすぐに商業的な電力発電ができるというわけではなく、原型炉である「もんじゅ」を成功させて、さらに、実証炉、商業炉と、規模もどんどん大きくしなければならないし、そのたびに取り扱うプルトニウムもナトリウムも増えて、技術的にもどんどん難しくなっていきます。危険もますます高まることにもなります。

 ナトリウムの火災事故で、もう十年以上「もんじゅ」は止まっているけれど、「もんじゅ」を再開したからといってすぐに高速増殖炉が完成するかというと、そんなことは実はないわけでありあります。その「もんじゅ」すら、今は止まってしまっているということで、高速増殖炉の実現への道筋は今、見えないわけです。

 もう一つは、高レベル放射性廃棄物、あるいは使用済み核燃料などの放射能物質をどうやって処理するかというのが残念ながら今の日本では確立しておりません。すでに日本は、海外に使用済み核燃料の再処理を委託してきていますが、その海外での再処理から出てきた高レベル放射性廃棄物は、ガラス固化体といって、溶けたガラスで固めて放射性物質を閉じこめています。それを六ヶ所村で一時貯蔵しています。

 数十年かけて冷やしたガラス固化体は、地下数百メートルに埋めて、最初の三百年ぐらいは人間がモニターしながら管理します。そしてその後は、地層処分と言われ、地層のなかで人間社会から完全に隔絶した状態でずうっと置いておかれることになります。

 一方の再処理する前の使用済み核燃料については、いったん原発サイト内でプールに貯蔵してあります。それから、六ヶ所村の再処理工場内の貯蔵施設に移して再処理するというのが現在の方針です。

 使用済み核燃料を再処理せずにそのまま最終処分する手段もあります。これをワンススルーなどと呼んでいます。使用済み核燃料のままでも高レベル放射性廃棄物でも、いずれにしろ最後は地層処分しなければなりません。

 しかし、最終的にどこでどうやって処理するか、日本では決まっておりません。というのは、地中深く埋めるわけですけれども、地震があったりしてそこに埋めたものが動いて放射能が漏れるということがあってはいけませんし、そのへんに地下水があったり温泉があったりすると、水に乗って地上に出てきてもいけない。これぐらいの島国で、やたら火山がいっぱいあって、地震もいっぱいあって、温泉もいっぱいあるところで、どうやってこれを処理するかという処理方法が残念ながら、決まっていません。本当に決まるんでしょうか。


注1)原子力発電所では、ウランに核分裂を起こさせて、発生する熱で水蒸気をつくり、タービンを回転させて発電している。
注2)福井県敦賀市にある高速増殖炉の原型炉。1994年に臨界を達成し、1995年8月に初送電を行う。同年12月ナトリウム漏れ事故を起こし、その後現在まで停止している。

河野太郎氏が語る「再処理工場の秘密」(2)へ続く

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