前の記事: 山田タマル
次の記事: トラックバックスパムツール販売サイトからトラックバックが来てた

2006.05.06

いい湯加減の話題

 誰もが一家言を持ち、語りたがる話題というのは確かにあります。はてな界隈なら、非モテ、オタク、サブカルといったところでしょうか。いわゆるブログ論もしくは個人サイト論もそうした話題の一つといえます。

 政治の世界でいえば、教育問題が誰でも語りたがる話題の一つです。外交や金融政策などは、語るのにそれなりの専門性が必要で、敷居が高い話題といえますが、教育は誰でも自分自身が経験していることなので語りやすい(森喜朗元首相とか)。また、昔の飲み屋ならば巨人の話題などが、誰もが一家言を持ち、語りたがる話題だったのではないかと思います(打順を変えろ、継投策がよくない、○○を起用しろ、etc. )。

 このような、語るのに敷居が低くかつ多くの人が語りたがる話題をHeartlogicでは「いい湯加減の問題」と呼んでいました。

はてなブックマークを見ていると、やたらと「非モテ」問題と「無断リンク」問題が盛り上がっている。この両方の話題に共通点はないが、現象には共通点がありそうだ。以下、まだ未整理な部分もあるが考えたこと。

●問題の性質の類似点
両方とも、問題を浅く眺めただけの第三者でも、簡単に答え(らしきもの)が浮かぶ問題である。

・「非モテ」  なになに? もてない奴がいるのか。まず自分を変えろ
・「無断リンク」 無断リンク禁止? そんなのナンセンスだ
こういう、簡単に答えたくなる問題を「いい湯加減の問題」と呼んでおく。

 問題というとproblemと混同するので、ここでは話題と言い換え、これ以降「いい湯加減の話題」と呼ぶことにします。

 いい湯加減の話題は、誰もが語りたがる話題であると同時に、他人の意見についてあれこれ批判・批評したくなる話題であるともいえるでしょう。しかし、いい湯加減の話題の語られ方はさまざまであるため、Aさんの意見はBさんにはまったく内容が理解できないということも起こりえます。そうすると理解できなかった側は相手の意見を批判・批評することがそもそもできません。

 これが居酒屋談義なら、その場にいる周りの人に理解できないような専門用語・概念を使って語るのは、ふさわしい行為ではないということになるでしょう。問題なのは、ウェブ上での場合です。

 ウェブ上でいい湯加減な話題のテキストがあるとします。そのテキストは書き手が読み手として想定している以外の読者からも読まれることがあります。その場合、書き手と読み手がコンテクストや知識を共有していないために、読み手がテキストを理解できないことも当然生じます。

 そこで読み手の側が、「おれにもわかるように書けよ」というのは果たして有りか? 居酒屋談義のごとく、両者が場を同じくしていて、書き手がその読み手の存在を認識しており、かつ読み手の理解のレベルをある程度わかっているのならそう抗議してもよいかもしれません。例えば、参加者限定の掲示板であれば、ウェブ上でもそうした条件を満たします。

 しかし、個人のブログにそれを求めるのはどうか? 書き手は、その場にいるのかどうかわからなく、かつ理解のレベルもわからない人を予め想定して文章を書かなければならないか?

 これが「おれがわかるように書けよ」ではなく「みんながわかるように書けよ」だったとしても、「みんな」というのは「おれ」の言い換えだろうし、そうではなかったとしても「みんな」はどのへんまで指すのかという問題があります。

 さらには「難解な文章はへたくそなだけ」との意見まで見かけましたが、そこまでいくと自分の取れないブドウをすっぱいブドウというイソップの話のようなものではないかという気がします。

 だいたいやり玉に挙げられてるのは、ポストモダンとかカルスタとか、そっち系で書かれているサブカルや非モテ脱オタの話題や、メディア論とかWeb2.0的な文脈で書かれているブログ論とかなのだろうと思いますけどね。仮に僕が日本における再生可能エネルギーの普及について一般向けに文章を書いたとして、それがやっぱり一般にはなじみの薄い用語が多くてわかりづらかったとしても、あまり文句をつけられることはないでしょう。

 いい湯加減の話題だからこそ、そんなふうに云われるんだろうなとこことか読んで思った次第です。

前の記事: 山田タマル
次の記事: トラックバックスパムツール販売サイトからトラックバックが来てた

Trackbacks

このエントリーのトラックバックURL:

(このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは反映されないシステムになっています)

Post a Comment

Information

Movable TypeからWordPressに移行しました。今後のブログの更新はこちらで行います。

VANILLACHIPS

Categories

Monthly Archives

RSS
track feed