ブログ界隈で日々行われている言論を見ていると、罵倒芸とでも云われているようなスタイルの文章にしばしば出くわします。しかしながら、こうしたスタイルの書き方にも二種類あることに気づきました。一つはまさしく芸と呼ぶにふさわしい真正罵倒芸と、もう一つは単に罵倒のスタイルを取っているだけのエセ罵倒芸です。
真正罵倒芸の特徴は次の通り。
- 罵倒する相手は、その議論のテーマにおいて発言力のある人やオーソリティー。相手は特定されている(相手の名前を明示していない場合でも誰を指しているか読み手にわかる)。
- (自分の意見への賛成者・反対者に関わらず)第三者である読み手の視線を意識し、読み手を楽しませようとするサービス精神がある。
- 罵倒しながらも論理展開は確かで、情報・知識に基づき、議論に説得力がある。
それに対して、エセ罵倒芸の特徴は次の通り。
- 罵倒する相手はその人自身が自分より立場が下だと思っている人。ニートだったり、マイノリティーだったり、ネット弱者だったり、要するにバカにしやすい人。あと、大衆や大衆的なもの。そのため相手は特定されていないことが多い。
- 意識しているのはどちらかというと自分と同意見の人。同調者を集めようとしている。
- 論理的というより、感覚的なものに訴える傾向がある。
まー、つまりですな、真正罵倒芸においては罵倒が戦術であり、エンターテインメントの手段でもあるのに対し、エセ罵倒芸では馴れ合いの手段なんですよ。
真正罵倒芸では、罵倒することにより、相手を議論の土俵に乗せます。相手だって、罵られればやはり黙ってはいられないでしょうし、無視を決め込もうものなら最初から議論に負けたような印象を周囲に与えかねません。さらに真正罵倒芸では、罵倒し、挑発することで相手のミスを誘い出します。相手をホットにさせながら、自分はできる限りクールを保つのですから、心理的にも高度な戦術です。
そして、真正罵倒芸は見てる側にもエキサイティングです。クリーンファイトより、反則あり、場外乱闘ありの方が見ていておもしろいのと同じような感覚です。
一方、エセ罵倒芸はというと、バカにしやすそうなものをバカにして、「あいつらバカでね?」と云うだけ。で、同調した人たちが「同感」とか「同意見です」とかいうようなコメントのブクマをして終了。こういうのやってる人たちは馴れ合いが嫌いらしいけど、実際やってるのは「殺伐とした馴れ合い」なんじゃねーのというのが僕の素朴な感想。お仲間をうまく集める手段として役立ってるという点では芸と呼べるのかもしれませんけど。
さてさて、「罵倒芸」でぐぐると、吉田アミさんのエントリが一番上に来ました。
そこでは、罵倒芸を習得するにはということで、「自分の芸(キャラ)を確立し、この人はこういう人なんですよと意思表明を表しておく」「罵倒した相手をただ貶めるのが目的ではない」「罵倒なれしてる」などと、その心得が何ヵ条か書かれています。芸の域に達した罵倒とは何かを考える上で参考になりそう。
真正だろうとエセであろうと、書き手の側は好きなように書くだけなんだろうけれど、読み手の側としては、真正罵倒芸とエセ罵倒芸の峻別はしっかりやった方がいいのではというのがこのエントリでの主張でした。おわり。
前の記事: ライブドアフレンドパークって
次の記事: 総務省にはキャッチフレーズがあった「実はここにも総務省」

