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2005.11.07

エンドユーザーにとってのWeb2.0とは

 Web2.0という言葉がブロゴスフィアにおいてbuzzword化しています。Web2.0をめぐる議論を主導しているティム・オライリーの論文(Web 2.0:次世代ソフトウェアのデザインパターンとビジネスモデル(前編))が日本語訳化されてCNET Japanに掲載されたこともあり、この議論は日本においてもますます加熱しそうです。

 で、Web2.0になると何が変わるのか。一エンドユーザーの立場から云わせてもらうと、ウェブの利用モデルが「情報の発信→情報の受信」というものから「(不特定多数での)情報共有」になるのではないかと思います。

 今のところWeb2.0に関してはテクノロジーやビジネス戦略についての話題が多いですが、エンドユーザーにとってWeb2.0は今までと何が違うのかというコミュニケーション的側面からの話題も出てきています。代表的なのがHeartlogicによる「Web2.0時代に、ユーザーが経験しておくべき10のこと」という記事でしょう。

 この記事において、ユーザーが感覚的にWeb2.0を理解するための10の項目が列挙された後、次のように書かれています。

ユーザーにとって、従来のWeb→Web2.0の最も大きな違いは、一方的に「受け取る」メディアから、「参加(発信も)する」メディアに変わることだと思っている。

 「参加」というのが重要なポイントになっていますが、これはただ単に情報を発信するというのではなく、互いの知を共有しようというものだと思います。

 そのような観点からWeb2.0までに至る流れをシロウトなりに概観し、それに伴う問題点を考えてみました。ちなみに、Web1.0などの分け方はテクノラティジャパンの佐藤匡彦さんのブログ記事「Web2.0とは?」を参考にさせてもらいました。


1.スタティックなウェブページの時代(Web1.0)

 ウェブはもともとその当初から、世界中の情報を有機的に結びつけ、知を共有しようという方向性を持っていた。ハイパーリンクというシステムがそれを可能にした(ただし、ハイパーリンクは一方通行で、相互に結び付けるには逆側からもリンクされなければならなかった)。

 しかしながら、個人がウェブに情報を載せるには技術的や心理的、あるいは物理的な障壁があった。HTMLやFTPなどがわからなければウェブページを作成し、ウェブ上に情報を載せることができない。そうした技術的障壁を低くするためにウェブオーサリングソフト(ホームページビルダー等)というものがあるが、購入するには当然コストがかかる。

 そのため、ウェブに情報を載せる個人というのはそうした障壁をクリアした人に限られ、自ら情報を発信する少数者と、その情報を受信するだけの多数者という構図(「情報発信→情報受信」モデル)ができた。

 また、次第にウェブの商用利用が進み、企業による広報や宣伝、商品の販売などがウェブ上でおこなわれるようになった。こうした商用利用においては、その性格上もともとウェブにおける「情報共有」という意識は低かった。

 こうして、ウェブは情報を発信する少数の人がいて、その情報を受信する多数の人がいるという、従来のマスメディアと同様の捉え方をされるようになった。


2.CGIを利用したインタラクティブなサイトの一般化(Web1.2〜1.5?)

 掲示板を初めとする、CGIを利用したインタラクティブなコミュニケーションを可能とするサイトの登場が状況をいくぶん変えた。これにより、ウェブに情報を載せる技術的障壁は大きく下がったが、その代わり、情報を流通させられる領域は基本的にサイト内やその周辺に限られた。よって、ウェブ全体の構図としては「情報発信→情報受信」というモデルは変わらなかった。


3.ブログとソーシャル系サービスの登場(Web2.0時代の幕開け)

 この状況を大きく変えつつあるのがブログである。ブログと掲示板との大きな違いはパーマリンクにあるが、パーマリンクによってハイパーリンクが有効に機能するようになった。さらにトラックバックシステムの導入により、リンクされたページ同士の相互参照が可能となり、情報がより有機的に結合するようになった。また、ウェブ上の有益な情報に対し、どんどんリンクしていくという独特のブログ文化がそうした動きに拍車をかけた。

 そして、RSSというコンピュータにとって認識しやすい規格をブログが採用したことは、限られたコミュニティ内だけでなく、より広範囲に情報を流通させる効果を持った。

 また、ホスティング型のブログサービスがITベンチャーや大手プロバイダー、ポータルから提供されるようになり、個人がウェブ上に情報を載せる上での技術やコスト面での障壁は大きく下がった。そのためブログ開設者は爆発的に増え、現在では日本でも300万や400万人のブログユーザーがいると云われている。

 このように、ブログの登場によってそれ以前までは「少数対多数」のメディアだったウェブが「多数対多数」のメディアに変わろうとしている。「多数対多数」というのも適切ではないかもしれない。「多数間」のメディアといった方がよりふさわしいだろう。そしてそこでなされるのは「情報発信」「情報受信」より、「情報共有」と考える方が適切ではなかろうか。

 さて、新聞やテレビの例を考えるとわかるとおり、情報を発信する主体が少ない場合は、情報発信者が権威を持ち、情報への信頼性が担保される。しかし、多数間のメディアとなったウェブでは情報の信頼性をどこに求めるべきか。その一つの解がソーシャル系のシステムだろう。

 ソーシャルネットワーキングサービスでは、ユーザー間のつながりにより信頼性を確保しているといえる。また、ソーシャルブックマークサービスなど、ユーザーが参加することで情報をフィルタリングし、集合知を求めるシステムも現れた。また、リンクやトラックバック、リンクリストなどによる各ブログ間の緩やかなつながりも、一種のソーシャル性を持ち、情報への信頼性を与えていると云えるかもしれない。


4.ウェブのプラットフォーム化(本格的Web2.0の時代)

 本格的Web2.0時代にはウェブはプラットフォーム化し、サイトという枠を越えコンテンツが流通するようになり、コンテンツ同士が融合してより付加価値のある情報が生み出されるようになるだろう。技術的にはAPIやAjaxといったものが、これを実現する役目を果たす。

 ポータルサイトはパーソナライズ化され、ニュースやRSSフィードを好きなように取り込める。また、メールを読んだり自分の住んでいる地域での映画の情報なども見ることができる。このへんは既にGoogleのパーソナライズドホームページやマイクロソフトのStart.comが実験的に行っているが、今後こうしたパーソナライズ化したポータルにソーシャル系の要素が加わってくるのではないかと予想(空想?)している。そして、パーソナライズされながらも、その一部が外部に対しても公開可能な形になるのではないだろうか。


★Web2.0への流れの中で生じる問題点

 思いつくまま列挙。

1.信頼性の問題

 集合知は本当に正しいか。多数によって支持されていることが必ずしも正しいとは限らない。また、Wikipediaでの情報の誤りなど。


2.ユーザーが情報共有モデルを理解できるか

 ここが一番軋轢を生みそうなところ。卑近な例を挙げれば「無断リンク禁止」問題。「情報発信→情報受信」モデルでは、情報を発信しているものがその情報に対しあらゆる権利を持っていると考えられがちだった。また、情報共有モデルにおいて、必ずしも誰とでも情報共有したいわけではないこともある。そのときに情報の公開範囲を適切に設定できるか。技術的に解決できる部分もあるが、まずユーザーが情報共有ということを認識する必要がある。デフォルトではすべてに対し公開なのだ。

3.著作権の問題

 2とも大きく関わるが、コンテンツがシームレスに流通するようになると著作権の問題がクローズアップされてくる。情報のコモンズ(共有地)において、情報提供者の権利をどのように保護するか。クリエイティブ・コモンズの取り組みが一つの解となりそう。
参考:Web2.0下のクリエーティブ・コモンズに注目!!(FPN)


 あと、監視社会化の話もあるのだけれど、これは自分自身も消化してないのでいつか改めて。


4480062858ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる
梅田 望夫
筑摩書房 2006-02-07

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Comments (3)

トラックバックを送信しましたが、どういったわけか反映されなかったのでコメント欄で失礼いたします。

http://vanillachips.net/mt/mt-tb.cgi/547

スイマセン、URLを貼り間違えました。
http://park5.wakwak.com/~rung/mt/archives/000442.html

SpamLookupの設定の問題だったようですね。トラックバックは反映させました。また、SpamLookupの設定も宮川さんのところを見て変更しておきました。ご教示いただきありがとうございました。

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