著者の齋藤孝氏は明治大学文学部助教授。専攻は教育学、身体論。著書にはベストセラーになった『声に出して読みたい日本語』などがある。
非効率な会議が多すぎると感じている人は多いのではないだろうか。著者は会議をクリエイティブにするための10の法則と3つのメソッドについて紹介している。この本では主に会社の会議を想定しているが、内容的にはサークルのミーティングなどでも十分使える方法だ。もちろんNPOにとってもかなり有益である。
以下、10の法則。
■法則1 とにかくアイディアを出す
単なる報告だけの会議になっていることはないだろうか? 報告だけなら回覧にしたり、メーリングリストで回すだけでもよいだろう。このへんは無駄な会議をなくし報告はほとんどメーリングリストで行っているというライブドアのやり方も参考になる(100億稼ぐ超メール術 1日5000通メールを処理する私のデジタル仕事術)。
非効率で、参加者の能力を無駄にしている会議の例として、著者が委員になっているある公的会議のことが挙げられていた。メンバーは30人で、会議の時間は2時間。ひとりひとり順順に1、2分ずつ均等にしゃべらせるような会議の進め方は一見民主的だが、各人が自分の意見を吐露するだけにすぎず、新しい価値を生み出すことはないとのこと。
以前、原子力委員会の専門委員である九州大学の吉岡先生の講演を聴いたことがあるが、原子力委員会の会議風景もどうやらそんなものらしい。あらかじめシナリオは決められていて、各界の意見を聴きましたというアリバイ作りになっているだけの感が。
さて、そうした会議の在り方からおさらばするために、会議のスタイルを変え、アイディアを出せるようなものにしようということだ。
■法則2 「結果の出やすい」テーマ設定をする
議論が抽象的にならないようにすることが大事とのこと。「抽象的」というよりは「大きなテーマ/広いテーマ」とでも云った方がよいか。そうしたテーマだと話が広がりすぎたり、個人的な話(体験談など)をしてそれを一般化するような人が出てくるというわけだ。そうするともう話はまとまらなくなり、さんざん話し合ったわりには結局どうするのってことになりかねない。
会議でアイディアが出てくるようにするためには、まずテーマの設定が重要。司会も話をまとめるのではなく、参加者のアイディアが出る方向に。参加者も全員がチームとして創り上げていくという意識が必要とのこと。
■法則3 三色に色分けして、聞く・話す
著者は『三色ボールペンで読む日本語』という本を出している。これは読書の時に三色ボールペンを用いて、とても重要な箇所には赤、まあまあ重要な所には青、主観的に面白いと感じた部分には緑で印をつけようという読書法で、僕も実践している。
このやり方を会議の時にも意識しようということ。会議の発言にも、赤、青、緑を意識することでメリハリをつける。
■法則4 インスパイア・アイテムを用意する
日本の会議ではあまり意識されない部分かも。クリエイティブな会議にするためには、アイディアを出しやすくするようなアイテムも必要であるという話。コーヒー、空間(いつもと違う会議室など)、机や椅子(可動式にする、途中で席を移動してもらうなど)、セクシュアル・パワー(男性と女性のペアを作りアイディアを出させる)など。
メモ台付きの椅子だとグループを作ったり、位置や向きを変えるのにも便利。学部のときの大学では主にそういう椅子の置いてある教室が大部分だった。今の大学では小中高の教室にあるような机と椅子の教室もけっこうあり、ちょっと驚いた。あの机と椅子ではクリエイティブな発想は難しい?! 少なくともグループディスカッションには不向き。
■法則5 身体のモードを切り替える
これも法則4と同じく、日本の会議で意識されることは少ないのでは。体が硬いと場も硬い。肩を回してもらうなどして体をほぐし、雰囲気を柔らかくすることで場を活性化させる。人間は笑うと横隔膜や肩胛骨が振動する。それらが固まってると笑えない。
■法則6 他人の悩ミソを使う
暗黙知(身体知)を形式知に引き上げる。基本は二人のペアで、対話を行う。
■法則7 ホワイトボードに書きこむ
空中戦にしない。思考のプロセスを図化する。ひとりで延々しゃべる人間が減る。権力性の脱色(ホワイトボードに書くことで誰の意見でも同じ土俵に乗る)。
■法則8 スポーツ感覚で臨む
言語を媒介した活動において身体性は忘れられがち。沈滞した空気を変えるには身体へのアプローチが必要とのこと。著者に云わせると会議はサッカーに似ているそうだ。共通の目的=ゴールを目指す。攻めの時間と守りの時間の意識。クリエイティブな会議なら、確かにそんな感じかも。
■法則9 全員が顔の見える位置に座る
一人の時間、グループの時間、全体の時間を作る。グループディスカッションの際、互いの顔が見える位置に座る。目と目を合わせることが関係性の基本である。名前を言い合いながらディスカッションする。対話の質を濃くする
■法則10 何かを決めてから会議を終える
審議を先、報告は後。我々は最初にやるものに時間をかける傾向がある。だったら大事なものを先にしてしまおうということ。なぜか知らないけど、日本人は大事なものを最後に残したがる習性があるようだ。
定例会議をやめてみる。会議のための会議は不要。←試しにいっぺんやめてみると、なくても何不自由ないことに気がついたりして。
以下、3つのメソッドについて。
■1 ポジショニング
二人一組が基本単位で机の角を挟んだ位置に座る。そのような直角三角形をアトランダムに配置。間に紙を置き、三色ボールペンでアイディアを書きこむ。
■2 キーワードシート
資料と、会議で共通の土俵となる紙をわける。会議リーダーが予め用意する。
■3 マッピングコミュニケーション
B4の白紙を二人の間に置いて、メモをしながら思考のプロセスを形にしていく。キーワードで書く。用紙全体を使い切るように。与えられた時間内にアイディアを全て出し切る。相手の考えを否定しない。真中から書き始める。三色ボールペンを使用。等々。
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さっそく実践してみたい、という気にさせられた。こういう方式の会議の進め方が日本中で実践されれば仕事の生産性も上がり、無駄な残業も減るのでは、と思うのだけどなかなかそうはいかないのかな。
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