4004310849 金融NPO―新しいお金の流れをつくる (岩波新書)
岩波書店 2007-07

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 金銭的リターンではなく、社会的リターンを求めてお金を出資・投資する人が増えているようです。世の中一般からすればそのような人はまだまだ少数でしょうが、市民風車を建てるのに1口50万円の出資を呼びかけて早々に1億円以上集まったなんて話や、各地にNPOバンクが設立されているなんて話を聞くと、利潤の最大化とは違った原理でお金をまわすしくみが今求められていることを感じます。

 本書では、民間非営利の立場で、環境やまちづくりなど社会的な事業へのお金を回すシステムを担っているさまざまな金融NPOが紹介されています。それらは、市民の出資したお金を社会的事業に融資するNPOバンク、多重債務者救済のために融資を行う生協などの組織、社会起業家や自然エネルギー事業などに投資する市民ファンド、寄付金を集めて地域のNPOに助成するコミュニティファンドと、一口に金融NPOといっても種類もいろいろで、それぞれの種類ごとに数団体が登場します。

 多重債務者サポート以外は、だいたい社会的事業を支援するものですが、これらの金融NPOの活動自体も社会的事業だし、その立ち上げに当たった人たちは社会起業家といえます。この本では、それぞれの金融NPOの概要だけではなく、どのような課題意識のもとに団体が立ち上げられたのかのストーリーも紹介されていて、なかなか興味深かったです。

 一例を紹介しましょう。NPOバンクの先駆けとなった未来バンクは、東京の江戸川区で環境活動を行っていた田中優さんらによって1994年に設立されました。田中さんたちは環境活動を行なっている中で、郵貯に預けたお金がダムやスーパー林道など環境破壊的な事業に使われていることに気づき、郵貯を批判する本を出します。しかし、それではどこにお金を預ければよいのか。じゃあ自分たちでその受け皿となる金融機関をつくろうということで未来バンクをつくったわけです。

 未来バンクの設立総会にはグラミン銀行のムハマド・ユヌス氏から祝電が届いたというエピソードも。そのときは誰も彼がノーベル平和賞を受賞するなどとは考えてもいなかったんだろうなあ。

 そのほか、山口大の女子学生3人が立ち上げた地域維新ファンドというのもすごいなあと思いました。今ネットで検索すると、情報が何年か前のまま更新されていないようなので、今はどうなっているのか気になりますが。

 この本では海外の金融NPO事情についても書かれています。日本とは違い、制度的な基盤もしっかりできているようで、大規模に事業が展開されているようでした。そのためどんなものなのかなかなか想像もしにくかったり。日本でもいずれ金融NPOがコミュニティバンクとして制度的に確立される日が来るでしょうか。

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