4532490804 ロジカル・ディスカッション
日本経済新聞出版社 2009-12-05

by G-Tools

 議論が拡散するだけしていって、けっきょく結論がよくわからない会議って、誰しも少なからず経験したことがあると思います。先日参加したある会議もまさにそんな感じで、もう少し事前準備をして臨めばよかったと思いました。何事も段取り八分ですね。

 さて、なんとなくの雰囲気で会議が進むのを避け、筋道立てた議論「ロジカル・ディスカッション」をできるようにしていくにはどうしたらよいでしょうか。本書ではそのためのポイントが、「ファシリテーターの5つの役割と12の基本動作」としてまとめられています。各項目についてかなり具体的に解説されていて、それぞれ役に立つ知識が満載ですが、基本を押さえるだけでも会議の進め方がだいぶ違ってきそうです。

ゴールの設定と論点の設定

 その会議において目標とする到達点を決める(ゴールの設定)ことと、ゴールに向けてどんな手順で話し合っていくのか議論のテーマを決める(論点の設定)ことが、まずロジカル・ディスカッションの出発点になるとのこと。

 本書で紹介されている例ではこんな感じ。

〈ゴール〉管理間接費用を30%削減するための重点施策を定める
1)問題を共有する:なぜ30%ダウンが求められているのか?
2)原因を分析する:なぜ管理間接費がこんなに多いのか?
3)アイデアを出す:我々にどんな手が打てるのか?
4)行動を決定する:重点的に取り組むべき施策はどれ?

 議論の進め方はこの他にもいくつかパターンがあります。詳しくは姉妹編の『ワークショップデザイン――知をつむぐ対話の場づくり』を参照とのこと。

ファシリテーターの5つの役割と12の基本動作

 というわけで、5つの役割と12の基本動作の紹介です。

1)要約する
 その人が何を言いたいのか、各々の発言を論理的に整える。

・基本動作1 論点を明らかにする
 何について話しているのか、発言の出発点を確認する。

・基本動作2 ポイントをまとめる
 話し合っている論点に沿った形で、発言のポイントを明確にする。「要するに」

・基本動作3 わかりやすく言い換える
 曖昧な言葉が出てきたら、それを具体化したり、定義づけたりして、その言葉に対するみなのイメージをそろえる。「たとえば」「具体的には」

2)検証する
 発言の趣旨がわかったら、その筋道が妥当なものか、論理的にチェックする。

・基本動作4 筋道を明らかにする
 主張と根拠が揃っているかを確認し、足りなければ欠けているものを求める。「なぜ?」(Why?)「だから何?」(So what?)

・基本動作5 筋道の歪みを正す
 主張や根拠が妥当なものであるか、正しいつながり方をしているかチェックする。「本当にそうなの?」

・基本動作6 筋道の偏りを正す
 一部の視点に偏った検討をしていないかチェックする。「他にないの?」

3)整理する
 一人ひとりの意見の論理が整えられたら、みんなの意見を整理して全体像をつかむ。

・基本動作7 テーマを分解する
 論点を大きな切り口でざっくり分けてから、細かいものへと分けていくトップダウンのアプローチ。

・基本動作8 意見を分類する
 似たようなもの同士を集めてまとまりをつくり、それを大きなグループへと統合していくボトムアップのアプローチ。

4)統合する
 整理を終えて全体像がわかったら、最後はそれを結論へと統合していく。

・基本動作9 優先順位をつける
 複数の意見(選択肢)に対して、「どれが重要(大切)ですか?」と優先順位をつける。

・基本動作10 上位概念をつくる
 複数の意見を眺めて、何がいえるのかを導く。

5)構造化する
 上記の作業をやりやすくするために思考の枠組み(フレームワーク)を提示する。

・基本動作11 構図(パターン)を選ぶ
 今の論点を考えるのに最適な構図を選んで提案する。

・基本動作12 切り口(視点)を選ぶ
 その構図に、どんな切り口を当てはめるのか、テーマに合った切り口のセットを考えて提案する。

 本書の各章には「理解度を確かめるエクササイズ」というコーナーがあって、Aさん、Bさん、Cさんが議論をしているダイアローグを読んで、ファシリテーターがどんな働きかけをすればよいか考えるようになっています。このダイアローグは、だめな議論の例として出されているので、まとまりがなかったり、あっちこっち話が飛んでたりします。しかし、これがまさに実際にありがちなパターンなんですよね。

 自分の所属している組織の会議がロジカルでないとお嘆きの方は、このエクササイズのところをコピーして、会議メンバーに見せ、どこがだめなのか考えてもらうといいかもしれません。

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