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チェンジメーカー~社会起業家が世の中を変える 日経BP社 2005-08-04 by G-Tools |
ロザンヌ・ハガティは、1982年マサチューセッツ州の名門アマースト大学を首席で卒業した後、ニューヨーク有数の繁華街であるタイムズ・スクエア近くにある教会でボランティアとして働いた。そこに1年間住み込みながら、家庭内暴力などの理由で住む家を失った、13歳から24歳の若者のカウンセリングを担当したという。
ロザンヌは、「お恵み」の食物で日々をしのぐホームレスの人々と生活をともにしながら、この状況をどうにか根本的に変えられないものかと、考え始めた。
こうして彼女は、ホームレス対策に取り組むことを決意し、衛生管理も行き届いてなく、麻薬と犯罪の温床となっていたホームレスのシェルターを改装し、清潔で居心地のよいホームレス支援の施設にすることを思いつきます。このシェルターはもともとはホテルで、治安の悪化から閉鎖されたというもの。
ロザンヌは専門家や市民団体の協力を得て構想を計画にまとめ、コモン・グラウンド・コミュニティというNPOを立ち上げます。そしてニューヨーク市から2800万ドルの融資を受けることに成功、計画を実行に移しました。
シェルターはホームレスと低所得者向けの快適なアパートメントに変貌し、周辺地域の犯罪も激減。他のNPOと組んで、精神科医によるカウンセリングや、医療全般の診療、職業訓練なども行われ、ホームレスの自立を支援しています。また彼女は大手アイスクリームチェーンの協力を得て雇用の場をつくるなどの事業も展開しています。
この本は、上記のロザンヌ・ハガティのような、世界各地で活躍する社会起業家18人にインタビューし、その生い立ちや、社会的課題に取り組むようになったきっかけ、今の仕事の内容などをまとめたもの。登場する社会起業家は、ソーシャルベンチャーの支援、紛争地域での医療支援、世界の人権問題の監視など手がける分野はさまざまです。しかし、問題意識の持ち方と、社会は変えていけるというある種の楽観と自信は共通しているように感じられます。
著者の渡邊奈々氏はニューヨーク在住のフォトグラファーで、本書では渡邊氏によるそれぞれの社会起業家のポートレイトも掲載されています。これらは写真家の腕前もあるのでしょうが、人間に対する優しさと社会問題に向き合う力強さが表れていて、みないい顔をしていると思いました。
著者の渡邊奈々氏の他、本書で取り上げられている社会起業家のひとりでインテグレックス社社長の秋山をね氏、解説を書いている金子郁容慶応大学教授、巻末のエピローグで名前が挙げられているソーシャルベンチャー・パートナーズ東京 の代表で慶応大学講師の井上英之氏など、この本にかかわる人たちが内閣府の「新しい公共」円卓会議メンバーに名を連ねています。これからの社会における公共のあり方を考える上でも参考になる本。
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