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グリーン・ニューディール―環境投資は世界経済を救えるか (生活人新書) 日本放送出版協会 2009-06 by G-Tools |
この本は、NHKで特集番組をやったときのまとめというか、番組で放送し切れなかったものを書籍化したもの。番組自体は2009年3月19日に「環境で不況を吹き飛ばせるか~グリーンニューディールの挑戦~」というタイトルで放送されたそうです。それで6月には新書にして本を出しちゃうのだから、なかなかのスピードですね。NHKのスタッフの間にも、一刻でも早く伝えたいという気持ちが強かったのではないでしょうか。
前半がアメリカで今、オバマ大統領のもとすごい勢いで進んでいるグリーン・エコノミー(オバマは公式の場でグリーン・ニューディールという言葉を使ったことはないそうです)のレポート。そして後半が、世界最先端の技術を持ちながら、政策が中途半端なために遅々として進まない日本の環境対策の実情の紹介となっています。
グリーン・エコノミーの中心となるのは太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーと、電気自動車やハイブリッドカーなどのいわゆるエコカーです。しかし、太陽光や風力による発電では、やはり自然の力任せなので安定した電力にはなりえないという意見が多いですし、僕も再生可能エネルギーで火力発電や原子力発電を単純に置き換えるのはとても難しいと思っていました。
けれども、この本を読んで再生可能エネルギーを中心とした未来の社会の在り方がだんだん見えてきました。ポイントとなるのは、スマートグリッドと電気自動車です。
スマートグリッドとはAll Aboutでの説明によると、以下のようなもの。
日米で注目を集める、スマートグリッドとは – [よくわかる経済]All About
スマートグリッドとは、「スマート(賢い)」な「グリッド(電力網)」のことです。コンピューターとインターネットを駆使して、電力の需要と供給をきめ細かく自動調整します。
発電事業者(発電施設)-送電-変電-電力使用者(企業・工場・一般家庭など)で生ずる課題解決を目指す考え方です。通信・IT技術を積極的に活用する点が特徴。電気機器などに関する情報の通信や制御を行い、電力の利用を最適化しようとする構想です。
原発のような大規模集中型の発電施設でどーんと発電して電力を供給するだけなら、スマートグリッドは必要ないかもしれませんが、小規模分散型の再生可能エネルギーによる発電が増え、無駄なく効率よくエネルギーを使えるようにするならば、スマートグリッドは必須になるでしょう。
そして、再生可能エネルギーによる電気を無駄なく使おうとすれば、電気を貯めておけるようにする必要がでてきます。その蓄電に電気自動車のリチウムイオン電池を使うようにし、さらには貯めた電気を送電線に戻して使う。そんなシステムが構想されていて、それに向けた実験が日本でも進められているとのこと。
太陽光発電、風力発電は技術的にも十分実用で使えるレベルであり、市場が大きくなって大量生産されればもっとコストも下がるでしょう。電気自動車も三菱自動車がi-MiEVを売り出し、他社もこの動きにどんどん追随してくるはずです。そしてスマートグリッドについても、ITの世界は技術革新が早いですし、GoogleやIBMといったIT界の巨人からベンチャーに至るまで参入してきており、実用レベルはそう遠くない話だと思います。
そうすると、あとは社会インフラや法の整備などの政策面での取り組みが重要になってきます。また、こうした分散型エネルギー社会の実現のためには、電力会社がそうした方向に行くように政策的に仕向けなくてはなりません。今の電力会社にとっては、がんがん無駄に電力を消費してくれた方が儲かるわけで、再生可能エネルギーが増えるのは疎ましいことであり、さらにスマートグリッドなどけしからんものだからです。
社会のリーダー層がこういう未来のビジョンを共有して、それに向かって進もうとなってくれればいいのですけれどね。今までの認識のままでは追いつけないでしょう。インターネットの進展と同じように、現実の方がどんどん先に進んでいくような気がします。民主党への政権交代は、グリーン・エコノミーの進展ということではプラスになるのではないかと思いますが、ぜひしっかりやってもらいたいところです。
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