【温室効果ガス 30%削減の衝撃】(1)民主案 36万円家計負担増 – MSN産経ニュース
「1世帯あたり年間36万円」。民主党の温室効果ガスの排出削減を実行した場合の家計負担の増加額だ。政府の目標は2020(平成32)年に05年比15%の温室効果ガスの排出削減を目指すものだが、民主党が今回の衆院選で掲げたマニフェスト(政権公約)では、20年に90年比で25%(05年比で30%)を削減するという厳しい目標を打ち出した。
温室効果ガスを90年比25%削減する*1と家計の負担が36万円増えるという試算が出されたそうですが、その数字に胡散臭さを感じたので、誰が計算したものなのかちょっと調べてみました。
*1 温室効果ガス削減の基準年は、ここでは90年で統一します。90年比25%減=05年比30%減です。
調べてみると、この試算はそもそも温室効果ガス削減についての日本の中期目標を決める中期目標検討委員会で出されたもので、その試算を出したのは(財)日本エネルギー経済研究所。日本エネルギー経済研究所とはどんなところなのかというと、国際的なエネルギー情勢の分析や、国内のエネルギー市場・産業の動向分析などをするシンクタンクのようです。
それでは、この日本エネルギー経済研究所の役員を見てみましょう。理事長の内藤正久氏は元通産省局長。その他の理事や評議員の名前と肩書きを見ると、石油会社、電力会社、ガス会社のお歴々がずらーっと並んでおります。
ということで、温室効果ガス削減のために高い目標を出されると非常に困る業界の方々でやっているシンクタンクの出した数値が例の家計負担36万円てやつなのでした。
さらに調べてみると、その一方で独立行政法人国立環境研究所も温室効果ガス削減の経済的影響や負担について試算していることがわかりました(資料2-5)。国立環境研究所の試算だと、90年比25%減のケースでも経済成長を確保でき、家計の可処分所得・光熱費への影響はわずかとなっています。
環境NGOの気候ネットワークが、この試算も含めて国の出した中期目標の選択肢のまとめ方について、問題点を明らかにしています(「地球温暖化の中期目標の選択肢」の読み方と問題点:PDF)。
その中から試算に関係するところを抜き出すと、以下のとおり。
ここでの試算では、温暖化対策を強化するほど経済に悪くなるようモデル設計されており、温暖化対策によって生じる新たな産業や雇用の創出を十分に反映できないようにされている。
削減を見込んでいるのは、家庭・業務、運輸部門がほとんどであり、25%削減に近づくほど、野心的に機器や設備を更新することになっている。
一方、発電部門や産業部門の大口排出源は、日本の排出の7 割近くを占めているが、今回の検討ではこれらの部門での削減はほとんど見込まれず、その費用分析もほとんどなされていないというアンバランスがある。
検討会の中期目標の検討では、こうした知見を踏まえて、温暖化対策を取った場合のコストと、対策を取らなかった場合のコストとの対比がなされることはなく、対策を取るときのコストが追加の“負担”として取り上げられるだけに終わっている。
それにしても、国の研究機関の試算ではなく、思いっきり利害が絡んでいるエネルギー業界系シンクタンクの試算の方が、国の側の資料の数字として取り上げられてしまうのだから不思議なものです。そしてそれがマスコミで報道され、一般に流通していきます。マスコミも、ちょっとネットで検索しただけでこれくらいのことがわかっちゃうのだから、数字をそのまま鵜呑みにしないで、少しは調べてみたらどうなんでしょうか。
さて、温室効果ガス90年比25%削減をかかげた民主党が政権を取りましたが、民主党は一方で高速道路を無料化するとも言っていて、政策の整合性が取れてないように思います。高速道路無料化については国民の支持がどれほどあるのかもやや疑わしく、8月17日に発表された朝日新聞の世論調査では評価するが23%、評価しないが67%でした。今後行われる各種世論調査で支持は明らかになってくるでしょう。民主党を中心とした新政権がどんな温暖化対策をやっていくか注意深く見ていきたいですね。
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よくわかる地球温暖化問題 気候ネットワーク 中央法規出版 2009-03 by G-Tools |
One Response for "温室効果ガスを25%削減すると家計負担が36万円増えると言っているのは誰なのか"
高速道路を無料化した場合、長距離ドライブのコストの大半がガソリン代となるので、より燃費の良い自動車への買い換えインティブとなると思います。
温暖化防止のために、高価な太陽電池パネルを税金投入で購入させるのは反対です。補助金もらっても、どうせ元がとれない。
ローテクですが太陽熱温水と湯沸かし器の組み合わせがグーだそうです。
より効果的な、建物の断熱の向上が安上がりでしょう。ついでに耐震化もやれば良いと思います。
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