4761524049 ドイツ 人が主役のまちづくり ― ボランティア大国を支える市民活動
学芸出版社 2007-04

by G-Tools

 前のエントリで取り上げた『環境先進国ドイツの今』の続編に当たる本。サブタイトルは「ボランティア大国を支える市民活動」となっており、前作同様ドイツ南西部の都市カールスルーエやその周辺での事例を取り上げて、ドイツにおける市民活動や、子育て・青少年対策、社会福祉、まちづくりなどの紹介をしています。

 日本では1998年に特定非営利活動促進法が施行されて、公益的な活動をしたい人たちは仲間を10人以上集めて一定の要件を満たせば、特定非営利活動法人をつくることができるようになりました。ドイツの場合は、7人以上集まって要件を満たせば市民協会(Eingetrangene Verein : e.V.)というものをつくることができ、これは必ずしも公益目的でなくてよくて、むしろ「趣味や興味を共有する人々の活動の場」の性格が強いようです。例えば「ウサギの愛好者協会」みたいなものもあるみたい。もちろん日本と同様、法律に則った協会をつくるまでに至らず、任意団体として活動するケースも多いようです。

 市民協会は、ドイツで政治的な集まりが禁止されていた19世紀半ばにスポーツクラブの名目で結成された政治結社がその始まりだったそうで、制度としての歴史は日本に比べてずっと古いようです。

 さて、ドイツでも日本と同じく自治体の財政難という問題があり、公共サービスを民間が担うケースも増えているようです。行政と市民協会との協働事業も多いようで、そうした例として、市の委託で環境アドバイザー業務をしている環境団体や、動物園でのガイド・ボランティア(子ども向けの環境教育などをする)の団体などが取り上げられていました。

 市民協会が行政の協力も得てなかなかおもしろいことをやってるなーと思ったのは、高齢者自らが共同住宅をつくった例。高齢者が、「個人の自由を保ちながら、必要な部分でお互いが助け合い、できる限り少ない経済負担で暮らせる高齢者用の共同住宅」をつくろうと市民協会を立ち上げ、高齢者向けアパートの建設を実現させました。

 これは、市からは安く市有地を貸してもらい、市民協会と契約した一般投資家(家主)がアパートを建設し、協会がアパートをまとめて借り上げて会員に貸すという仕組み。市としては、市のお金で高齢者向け施設をつくらずに済み、市民協会もアパートの建設資金がなくて済みます。また、ドイツでは不動産屋ではなく家主自らがアパート経営をするのが一般的だそうで、その仕事を市民協会に任せられるのがメリットだとのこと。お金がなくてもアパート建てちゃうってすごいですね。日本でも似たような方式でエコアパート建てちゃうとかできないだろうか。

 この本を読んでみて、また、自分自身のドイツ滞在体験を振り返ってみて、やはり日本よりもドイツの方が市民活動が社会に根付いているなーと感じました。ドイツでもまだまだな部分はたくさんあるでしょうけど、学べることもたくさんありそうです。市民の自主性を生かすような社会の仕組み・基盤を整え、日本でも市民活動や、行政への市民参加が活発になるようにしていかないといけないですね。

関連記事:

環境先進国ドイツの今(松田雅央)
ここが違う、ドイツの環境政策(今泉みね子)
ボランティア もうひとつの情報社会(金子郁容)